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法人税務 読了 約5分

法人税務で押さえたい基本ポイント

法人税の申告は、決算書と一体で行う手続きです。何をいつまでに、どの税目で納めるのか。会社を経営するうえで最初に押さえておきたい仕組みと注意点を整理しました。

会社を設立して最初の決算を迎えるとき、多くの方が「結局、何をいつまでにやればいいのか」で戸惑われます。法人の税務は、決算(会社の成績をまとめる手続き)と申告(税額を計算して申し出る手続き)が一体になっているため、経理と税務を切り離して考えられないところに難しさがあります。

この記事では、法人税務の全体像を「期限」「税目」「利益と所得の違い」の3つの角度から整理します。

申告と納税の期限は「事業年度終了の日の翌日から2か月以内」

法人税の申告書は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内に提出し、あわせて納税します。3月31日決算の会社であれば、5月31日が期限です。

この2か月というのは、決算を締め、数字を確定させ、申告書を作るには決して長くありません。とくに初年度は、記帳の遅れがそのまま申告期限のリスクになります。

実務のヒント

決算日から逆算して、「試算表の締め」「棚卸」「未払計上の確認」をいつ終えるかを先に決めておくと、直前の慌ただしさがかなり減ります。

申告期限の延長という制度もあります

定款で株主総会の開催時期を定めているなどの事情で2か月以内に決算が確定しない場合は、あらかじめ申請しておくことで、法人税の申告期限を1か月延長できます(申告期限の延長の特例)。

ただし、ここには注意点があります。延長できるのは原則として「申告」であって、「納税」の期限そのものが後ろにずれるわけではありません。2か月を過ぎて納付した部分には利子税がかかるため、延長を使う場合でも、見込額を2か月以内に納付しておくのが一般的な実務対応です。

法人が納める税金は、法人税だけではありません

「法人の税金=法人税」というイメージを持たれがちですが、実際には複数の税目を同時に扱います。

税目課税のしくみ押さえどころ
法人税所得(もうけ)に対して課税国税。申告書の中心
地方法人税法人税額に対して課税法人税とセットで計算
法人住民税法人税割+均等割均等割は赤字でも発生する
法人事業税・特別法人事業税所得等に対して課税都道府県に申告
消費税預かった消費税−支払った消費税課税事業者かどうかで扱いが変わる

とくに見落としやすいのが、法人住民税の均等割です。これは会社の規模(資本金等の額と従業員数)に応じて決まる定額の税金で、赤字であっても納める必要があります。「今期は赤字だから税金はゼロ」とはならない、という点は最初に知っておいてください。

会計上の「利益」と、税務上の「所得」は別のもの

法人税の計算でいちばん理解しておきたいのが、ここです。

損益計算書の当期純利益がそのまま課税対象になるわけではありません。会計上は費用でも税務上は損金にならないものがあり、その分を利益に足し戻して(加算して)所得を計算します。

代表的なものを挙げます。

  • 役員給与 … 要件を満たさないものは損金不算入
  • 交際費 … 一定額を超える部分は損金不算入(中小法人には別枠あり)
  • 寄附金 … 損金算入に限度額がある
  • 法人税・住民税 … そもそも損金にならない
  • 各種引当金・評価損 … 税務上は認められない範囲がある

つまり、「利益が出ていないのに税金が出る」ことも、「利益は出ているが繰越欠損金で税額が抑えられる」こともあります。決算の着地を見るときは、利益ではなく所得ベースで考える習慣をつけると、資金繰りの見通しが立てやすくなります。

役員給与は、期首から3か月以内が勝負

中小企業でとくにトラブルになりやすいのが役員給与です。損金にするには、原則として次のいずれかの形をとる必要があります。

  1. 定期同額給与 … 毎月同じ額を支給する。金額の改定は、原則として事業年度開始から3か月以内に行う
  2. 事前確定届出給与 … 支給時期と金額をあらかじめ税務署に届け出て、そのとおりに支給する
  3. 業績連動給与 … 主に上場企業向けで、中小企業では実務上ほぼ使われない

ご注意

「業績が良かったので期の途中で役員報酬を増やした」「資金繰りが苦しいので数か月だけ減らした」といった変更は、増減額部分が損金として認められない可能性があります。役員報酬を動かす前に、必ずご相談ください。

消費税と電子帳簿保存法は、法人税とは別軸で考える

法人税の話とは別に、日々の経理に直結する制度が2つあります。

インボイス制度(適格請求書等保存方式) は2023年10月に始まりました。仕入税額控除を受けるには、原則として登録番号の記載された適格請求書の保存が必要です。自社が登録事業者かどうか、取引先が登録しているかどうかで、請求書の作り方も仕訳も変わります。

電子帳簿保存法 では、メールやWeb上でやり取りした請求書・領収書などの電子取引データは、電子のまま保存することが求められます。「印刷してファイリングしておけば安心」という運用は、現在の制度とは合っていません。

この2つは、決算のときにまとめて対応できる性質のものではなく、日々の処理の設計が必要になります。会計ソフトの設定と保存ルールを、期首のうちに整えておくことをおすすめします。

まとめ

  • 申告・納税は事業年度終了の日の翌日から2か月以内。延長制度はあるが、納税の実質的な期限は動かない
  • 法人税以外に住民税・事業税・消費税がある。均等割は赤字でも発生する
  • 会計の利益と税務の所得は別物。役員給与・交際費などの損金不算入を前提に着地を見る
  • 役員給与の改定は期首から3か月以内
  • インボイスと電子帳簿保存法は、日々の経理設計の問題として先に手を打つ

法人の税務は、決算のときだけ考えるものではなく、期首の設計と月次の積み重ねで結果が決まります。「うちの場合はどうなるのか」という具体的なところは、ぜひ一度ご相談ください。

本記事の位置づけ

掲載時点の法令・通達等に基づく一般的な解説です。適用の可否は個々の事実関係によって変わります。

#法人税#決算#申告期限#役員給与
KT

税理士 工藤 大輔

東京税理士会 練馬東支部/登録番号 第158818号

プライム上場企業の税務部門での実務経験をもとに、中小企業・個人事業主の税務と経営に伴走しています。プロフィールを見る →

本記事は掲載時点の法令・通達等に基づく一般的な情報提供であり、個別の税務判断の根拠となるものではありません。実際のご判断にあたっては、必ず個別にご相談ください。

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