税理士に相談するタイミングとは
「まだ早いかな」と思っているうちに、選べたはずの選択肢がなくなっていることがあります。相談が早いほど効果が大きい場面と、遅れると取り返しがつかない期限について整理しました。
「税理士に相談するのは、決算が近づいてからでいいですか」というご質問をよくいただきます。
結論から申し上げると、税務の相談は「決まってから」ではなく「決める前」がいちばんです。。決まった取引の税額を計算するのは、誰がやっても同じ答えになります。一方で、取引の順番・時期・形をどうするかは、決める前にしか動かせません。(また、税理士として早い方が繁忙期の予定が組みやすいというポジショントークの側面も一部ですがあります)
相談が遅れると「選べなくなる」ものがある
税務には、あらかじめ届け出ておかないと選択できない制度が数多くあります。事後に「やっぱりこちらにします」とは言えない、というのが実務上いちばん大きな落とし穴です。
代表的なものを挙げます。
- 青色申告の承認申請 … 欠損金の繰越しや各種特例の前提になる。設立後や年の途中の開業では、提出期限が細かく決まっている
- 消費税の課税事業者選択届出 … 設備投資が大きい期に還付を受けたい場合など、事前の選択が必要
- 消費税の簡易課税制度選択届出 … 原則として適用を受けようとする課税期間の開始前に提出
- 事前確定届出給与に関する届出 … 役員賞与を損金にしたい場合、支給前の届出が必須
いずれも「知っていれば選べた」ものばかりです。決算のタイミングで初めてご相談いただくと、すでに期限を過ぎていて手の打ちようがないということが起こります。
ご注意
届出書の期限は、制度ごとに起算点(設立日・事業年度開始日・支給決議日など)が異なります。「いつまでか」は一律ではないため、検討を始めた段階でご確認ください。
相談したほうがよい場面
具体的には、次のような場面が「相談どき」です。
1. 創業前・法人成りを考えているとき
個人事業のままいくか、法人化するか。この判断は、所得の水準だけでなく、社会保険の負担、消費税の扱い、将来の事業計画まで含めて考える必要があります。設立してからでは戻せないため、事前の検討がもっとも効果的な場面です。
2. 売上が1,000万円に近づいてきたとき
消費税の納税義務は、原則として基準期間(2期前)の課税売上高で判定します。つまり、今期の売上が2期後の納税義務に影響します。「今年から課税事業者になった」と気づくのではなく、2年前から見通しを立てておく話です。
3. 大きなお金が動く前
- 設備投資・不動産の購入
- 借入・増資などの資金調達
- 人を雇う、給与体系を変える
- 事業の一部を売る、承継する
これらは、実行の順番と時期で税額が変わる典型例です。契約書に押印する前にひと声かけていただければ、選べる打ち手が残ります。
4. 税務調査の連絡が来たとき
調査の連絡があった段階で、まずご相談ください。何を準備し、何をどう説明するかで、その後の展開は変わります。
5. 今の税理士に聞きづらいと感じているとき
「この処理でいいのか確認したい」「説明が腑に落ちない」というときは、セカンドオピニオンという形もあります。契約を切り替える前提でなくても構いません。
相談前に用意しておくと話が早いもの
かしこまった準備は不要ですが、次のものがあると初回から具体的な話ができます。
| 資料 | あると分かること |
|---|---|
| 直近2期分の決算書・申告書 | 現状の税負担、繰越欠損金、適用中の特例 |
| 直近の試算表 | 今期の着地見込み |
| 現在の記帳方法(ソフト名・担当) | 業務フローの改善余地 |
| 検討中の取引の概要 | 打ち手の選択肢 |
もし何もお持ちでなくても、「こういうことを考えている」という口頭の相談だけで十分です。資料が揃うのを待つほうが、かえって機会を逃します。
まとめ
- 相談は「決めた後」より「決める前」が効く
- 届出書が必要な制度は、期限を過ぎると選択そのものができなくなる
- 創業・法人成り・売上1,000万円・大きな支出・調査連絡は、いずれも相談どき
- 資料が揃っていなくても、構想段階で問題ない
当事務所では、初回30分の相談を無料でお受けしています。「相談するほどのことか分からない」という段階のご連絡こそ歓迎です。
本記事の位置づけ
掲載時点の法令・通達等に基づく一般的な解説です。具体的な期限や適用要件は、個々の事実関係によって異なります。